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最高裁判所第一小法廷 昭和22年(オ)4号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人盛川康上告理由第一点について。

しかし、民訴第三八一条は既に第一審裁判所の終局判決がなされた以上、仮に不当に管轄を認めたとしても、専属管轄に関しない限りは、訴訟経済の見地から、控訴審においてはもはや、第一審の裁判所の管轄権については、争うことを許さない趣旨を定めた規定であると解すべきである。そして本訴は専属管轄の定められている訴訟に該当しないから、当事者は原審で福岡地方裁判所飯塚支部が本訴について管轄権を有しないと主張することはできない筋合であり、原審がこの点について判断をしないで、本案の裁判をしたのは正当であるから、原判決をもつて、管轄に関する法律の解釈を誤つた違法のものとする論旨は理由がない。

同第四点について。

しかし、当事者双方に対し適法な期日の呼出し又は告知がなされて開かれた口頭弁論期日において、当事者の一方の不出頭のまま、弁論が終結せられ判決言渡期日の指定告知がなされたときは、その告知は右の期日に出廷していなかつた当事者に対しても、その効力を生ずるものである(昭和六年五月二九日大判、民集一〇巻三五七頁)。従つて不出頭の当事者に対して別に判決言渡の期日の通知をしなくても違法ではない。然るに原審の昭和二二年五月六日の口頭弁論期日の呼出状は第一審被告代理人(上告代理人)に適法に送達されているのに、同代理人はその期日に出頭しなかつたのであつて、原審はこの期日に弁論を終結し同月二〇日の判決言渡期日を告知したことは記録上明かであるから、原審が上告代理人に対してさらに右判決言渡期日の呼出状を送達しないで、その期日に判決を言渡したからといつて、原判決は訴訟手続の規定に反する違法のものとはいえない。論旨は理由がない。(その他の判決理由は省略する。)

よつて民訴第四〇一条、第九五条及び第八九条により主文の通り判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 沢田竹治郎 裁判官 真野毅 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 岩松三郎)

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